私が大人になって始めて自分の犬として迎えた子の話です。
保護した時はもう2才くらいだったと思う。
主人の事務所へ毎日日向ぼっこをしに来るようになって1週間くらい
ガラス越しに中を覗き込む瞳が愛らしくて飼う決心をした子です。
連れて帰っても家には気の強いあかんたれの猫殿がいるので
慣れるまで家の裏に扉をつけてその中でフリーで居て貰うことにしたんですが、こっちが思う様にそう上手くはいかないもの…
周囲の人に聞くと、2か月くらい前からアチコチの家でご飯貰って
自由気ままに放浪して地域の人に可愛がられてる子だったらしく
食べる事に不自由することのない自由な暮らしは捨てがたかったのでしょう。
連れて帰って間もなくの事、
ある日私が出先から帰ってくると門扉に張り紙がありました。
ウチの子はチャメと名づけましたので、「チャメちゃんが家に遊びに来てくれてます。親友のジョン」とあり慌てて迎に行ったことがありました。
後でどこから脱走したのか調べるとガスメーターの検針用に抜いた塀のブロック1枚の穴からでした。それも、道路側では1.5mくらいの高さのところから体重15㎏の子が抜け出たかと思うと、外に出たさの執念だったんだろうと、ちょっと悪い事をしているような寂しい気持ちになったものでした。
また別の日に主人が家の前に車を止めた所、その先の道路の信号を渡って行くチャメを見つけたのでそのまま車で後を追って近づき、そっとチャメの横に車を止めて助手席側のドアを開けると、なんの躊躇いもなく座席に乗り込んで、無言のままジッと前を見ていたと言う逸話の持ち主。
それは、いまだに当時の犬友さんの間では話のネタになっています。
チャメは自分で物事を判断して行動できる独立心のある賢い子でした。
なので、私達が心から家族になって信頼のできるパートナーとなるにはそんなに時間がかからなかった。
それから13年近く一緒にいて嬉しい時は一緒に喜んで、寂しい時は私の顔を一舐めしてくれる友でした。
私は犬との信頼関係の深さや安らぎをチャメから教わりました。
彼女は私の永遠のパートナーです。